《質問》 脳卒中が疑われた場合にはどんな検査がありますか? 説明して下さい。
脳卒中には次ぎの三つのタイプがあります。
即ち、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血です。
脳卒中が疑われた場合、先ず大切なことは脳に異常があるかどうかということです。
第二には、上記三タイプのどれに当たるかの鑑別診断と言うことになります。
主なもののみ下記しますが、これらの検査により、ほぼ完全に脳の異常及び鑑別診断が可能です。
X線CT (X線断層撮影検査)
図のような装置に入りますが、検査時間は患者さんの頭を正しく固定してから5分ほどで済み、痛みもありません。
脳出血・脳梗塞・くも膜下出血の鑑別が出来ます。
MRI (磁気共鳴断層撮影検査)
装置の外観はCTと似ています。 また、目的もCTと似ていますが次の点が違います。
CTと違いX線を使わない。
CTは水平に切った輪切り像しか描けないのに、MRIは縦・横・斜めなど、角度を変えて脳をより詳しく観察できます。
また、分解能が高いので小さい病巣を見つけることが出来ます。
但し、心臓ペースメーカーを埋め込んでいる場合は、検査を受けることが出来ません。
検査時間はCTよりも長く、実質15分くらいかかります。
MRA (磁気共鳴血管撮影検査)
これはMRIと同じ装置でMRIの検査に引き続き行われ、血管だけを映し出すものです。
造影剤を用いませんので、放射線を浴びることはありませんが、血管造影に較べるとMRAの精度は劣ります。
しかし、動脈瘤や脳血管の狭窄などを描き出すことが出来ます。
頚動脈超音波検査
腹部の超音波検査で、腹壁にあてるリモコンのようなものを首に当て、頚動脈の動脈硬化の程度を知ろうとするものです。
痛みもなく、所要時間も15分くらいです。
最近、頚動脈硬化は日本でも増えてきており、脳梗塞の原因の一つです。
脳血管造影検査
細い管を太腿の付け根や腕から、頚動脈や脳動脈まで通して造影剤を送りこみ、脳血管の状態を調べる検査です。
動脈瘤(くも膜下出血の原因)や脳動静脈奇形(この部分の血管は弱く、脳出血やくも膜下出血をおこしやすい) を調べるためには有用な検査です。
心臓の異常を調べるために行う検査
心電図では心房細動の有無がわかります。
心房細動とは脳塞栓症がおこりやすい状態です。 これを心原性脳塞栓症と言います。
最近このタイプの脳梗塞が増えており、脳梗塞全体の約3割を占めています。
心臓超音波検査では心臓内に血栓が出来ているかどうかが分かります。
2002年4月
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