C型慢性肝炎の治療にはどんなものがありますか。。。
『原因療法』と『対症療法』があります。
前者は
ウイルスを体内から排除する方法、即ち列車から降りてしまうことになり、治療の継続から解放されます。
後者は
肝臓の炎症を鎮め、肝機能を改善して肝炎の悪化を防ぐ方法で、列車のスピードを落とす、または停車させる方法です。

まず、『原因療法』が可能かどうかを検討します。
現在、この治療法に使う薬はインターフェロンです。
  • 若い人
  • 病気が進んでいない人
  • ウイルス量の少ない人
  • HCVの遺伝子型がVまたはWの人
など、排除されやすい人からはじめます。
著効率は平均 30%くらいのようですが、有効が期待される患者さんを対象に治療を行うと、著効率は60%くらいになるという報告もあります。

最近インターフェロンと抗ウイルス剤リバピリンの併用が保険適用になり、その効果が期待されています。
海外ではこの治療法がC型慢性肝炎の標準的治療法になっています。

インターフェロンで効果が期待できず使用しなかった患者さんや、インターフェロンで効果がなかった患者さんには、『対症療法』として、炎症を鎮める強力ミノファーゲンCの注射や、ウルソデオキシコール酸を投与します。
GOT・GPTを下げるのに意味があります。



インターフェロンでの治療の実際
一般的な投与方法では、最初の2〜3週間は入院して毎日注射をします。
その後退院して、週3回の注射を22週続けます。



インターフェロン療法及びインターフェロンとリバピリンの併用療法の副作用
多くの患者さんに高い頻度で副作用が現れます。
治療開始後、早期にインフルエンザ様の症状(発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、食欲不振等)が見られます。
程度の差はありますが、殆どの人に見られます。
しかし、続けていくうちに軽くなっていきます。

その他、
特に注意すべき副作用は、「うつ状態」及びこれに伴う「自殺企図」です。
これは不眠や不安感が原因になります。
甲状腺機能亢進症、間質性肺炎、白血球減少にも要注意です。

リバピリンを併用した場合の副作用は、更に貧血と肝機能障害です。



最 後 に

  1. この病気は自然治癒は殆どなく、放置すれば肝硬変から肝癌に進み、死の転帰をとることが明らかであり、治療の必要があります。

  2. そのため、病気を放置している人には病気を理解させ、検査をしていない人および検査に異常がなくても輸血をしているとか、その疑いが強い人は、HCV抗体の検査、更に必要があればHCV−RNA定性をして、診断を確実にすることが必要です。

  3. できればインターフェロン療法を行い、完治させることが望ましいですが、不可能な場合でも炎症を抑える治療で、病気のスピードを遅くすることが大切です。


2003年 8月

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