骨粗鬆症の危険因子 (骨粗鬆症になりやすい原因)
骨粗鬆症については、来たしやすい要因がありますので列記して見ます。
- 若い頃生理が不順だった人、 閉経が早かった人、 更年期以降の女性、 45歳以上の男性、 小柄でやせている人、 ダイエットを繰り返す人、 寝たきりの人、 運動や体を動かすことが嫌いな人、 日中は殆ど外出しない人、 若い頃から牛乳や乳製品を殆ど取らない人、 アルコールやタバコの多い人、 コーヒーを1日3杯以上飲む人、 血縁者に骨粗鬆症の人がいる人。
- 骨粗鬆症になりやすい病気や薬剤があります。
左右の卵巣を切除した女性、 胃や腸の手術を受けたことのある人、 胃腸・腎・肝等の疾患がある人、 ステロイドを使っている患者さん(特に女性)、 抗テンカン薬を使用している患者さん、 リウマチがある患者さん、 長期に臥床していた患者さん、 糖尿病の患者さんでインスリンを使ったり非常にやせている人。
上記の一つでも当てはまる人は、骨量低下が始まっている可能性があり、骨量の測定が望ましく思います。
『婦人の健康づくり推進事業』、『老人保健事業の1項目』 として市町村で骨密度検診を行なっており、骨ドックや骨粗鬆症外来もあります。
しかし、まず主治医に相談するのが良いと思います。
女性のための骨粗鬆症予防・治療薬
ホルモン補充療法(HRT)
女性は閉経後、急ピッチで骨がスカスカになることは良く知られています。
また、これはエストロゲンと言う女性ホルモンの欠乏が原因であることが分かって います。
このため、エストロゲンを補うホルモン補充療法があります。
この治療法は、骨量の増加、更年期障害や高脂血症の改善等の効能があり、その有効性は明かで良く知られています。
特に骨量については、HRTを行った人と無治療の人とを3年後に比べた結果、骨量で10%の差が出たという報告があります。
しかし、乳がんや子宮癌などの副作用があり、エストロゲン治療には専門医による慎重な適応選択と適切な管理が必要です。
このような副作用のため、日本ではHRTを受けている人は更年期障害を持つ女性の1〜3%です。
アメリカでは約25%の人がこの治療を 受けていると報告されています。
期待されている新しいエストロゲン製剤
最近、この副作用をなくしたエストロゲン製剤が開発されました。
SERM(サーム)という総称で呼ばれているこの薬は、乳腺や子宮内膜にはむしろ癌を作らないように働き、 他方骨に対してはエストロゲン作用を示し、骨量を増やすという夢のような薬です。
SERM(サーム)のなかで、骨疾患をターゲットとしたラロキシフェンと言う予防・治療剤が米国では既に発売されており、第一選択の一つに位置づけられています。
日本でも既にこの製剤の開発は進められており、近い将来使用できる日が来るもの と思います。
骨粗鬆症も大切な生活習慣病
骨粗鬆症は初期のうちは、殆ど症状が出ません。
骨量がある程度減ってくると症状が出ますが、やがて大きな骨折へと発展し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ : 生活の質)の低下につながります。
これは、高血圧症・高コレステロール血症・糖尿病でもある程度まで病気が進行しないと症状が出現せず、最終的に脳梗塞・心筋梗塞・失明や腎不全など、もとに戻らない状態になり、始めて症状が出るのに似ています。
放置すれば、何れ結果は明らかであるこれらの疾病に対しては、早期に発見し治療して行くしか道はありません。
骨粗鬆症に対しても同様、早期に発見し、生活習慣の改善と新しい薬物治療で骨量を増やし、骨折を予防することが大切です。
症状がなくても、病気を良く理解して付き合って行くことこそが大切なのです。
その結果、骨折に対する心配が無くなり、これで始めて老後を積極的に生きぬくことが出来るものと思います。
骨粗鬆症の減り方にもタイプがある
骨量の減り方にもタイプがあります。
特に更年期以降の女性は、年に1回の定期的骨量測定をして、自分は速く減るタイプか普通のタイプか知っておく必要があります。
更年期以降の女性は普通年間2%骨量が減少します。(これをノーマル・ルーサーという)
3%或いはそれ以上の骨量が減少する人が、約10%います。(ファスト・ルーサー)
これに該当する方は、早く骨粗鬆症になり、骨折を起す危険性があります。
ファスト・ルーサーの原因についてはまだ良く分かっていません。
遺伝、食事、運動等が関係している可能性があります。
骨粗鬆症Q&A ちょっと詳しく骨粗鬆症のお話
2002年7月
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