最近、家庭血圧に関する考え方が変わりつつあります。 これまでは血圧は病院・診療所の外来で測り(診察室血圧)、それを基準にして血圧をコントロールしてきました。 しかし、最近では家庭血圧計の普及により家庭での血圧測定が出来るようになりました。 しかも、家庭血圧の方が診察室血圧より病気との関連が深い事がわかってきました。 更に家庭血圧の中でも、夜間血圧・早朝血圧は特に大切と言うデーターも出始めています。 当院では、高血圧で外来に通っておられる患者さんの中に家庭血圧計を持っておられる方も多く、それらの患者さんに家庭血圧を測ってもらいデーターを取っています。 『朝の血圧が非常に高く、夜の血圧はほぼ正常の人』、『診察室血圧が非常に高いのに、家庭で測るとむしろ低い人』、これとは逆に『家庭血圧の方が診察室血圧より常に高い人』等、個人によるパターンの違いに驚かされます。 |
仮面高血圧
最近、仮面高血圧と言う言葉が注目を集めています。
診察室で測る血圧はいつも低いので正常血圧とみなされ、家庭での高血圧が隠されてしまう(仮面をかぶされてしまう)という意味で、『診察室血圧正常、家庭血圧が高い状態』に対して、仮面高血圧と言う名前がつけられたわけです。
これは、これまで『逆白衣性高血圧』などと呼ばれていたものと似ています。
この様な患者さんは、高血圧症の約20%存在すると言われています。
なぜ仮面高血圧が取り上げられるのか。。。
第1に仮面をかぶっているので、放置されがちなことです。
これを発見するためには、まず高血圧症があったら疑ってみる事が大切です。
仮面高血圧は夜間から早朝にかけて血圧が高いので、早朝の血圧測定である程度は診断がつきます。
第2に仮面高血圧は心血管の病気発生の危険度が外来血圧と比べて圧倒的に大きいという報告があり、放置出来ない問題です。
治療については、「どんな薬を使うか」、「どのくらい使うか」、「飲む時間帯をどうするか」等により、解決が可能です。
第3に仮面高血圧は、夜間高血圧のない人と比べて痴呆になりやすく、また脳卒中などの危険度は4倍も高いと言われています。
診察室血圧はいつも同じ時間帯の点の測定、しかも2週間に1回となると血管に対する影響は推定すら出来ない状態です。
夜間血圧(早朝血圧)、24時間血圧、家庭昼間血圧、外来血圧の順に脳心血管に対する危険度が強いとも言われており、特に早朝の血圧測定の大切なことがわかります。
これからの血圧管理はこのような視点から、家庭血圧を基準にして高血圧の管理をする時代に入っていくようです。
《参 照》 白衣性高血圧 診察室血圧と家庭血圧について
2003年 2月
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